子供の「できる」を増やしましょう

                      長崎県スクールカウンセラー(I・N)
  子育てをする時、私たち親が見つめるのは子どもの未来の幸せです。そのためにどうしたらいいかを考えます。
 例えば4〜5歳は、母の膝から自立して、外の世界へ一歩を踏み出し始める時期です。この時期は、自分の身を守ること、人を傷つけないことなどを教える必要があります。
 そして、この頃から自分の感情と行動をコントロールするなどの社会的スキルを身につけ始めます。まさにこのスキルこそ「生きる力」となります。この力を身に付けるには体験が一番です。ところが、親がこの時期にぴったりとくっついて、手取り足取り指示するだけだとしたらどうでしょうか? 子どもは自分で考えたり行動したりするところを、親が代わって全てやってしまったら、子ども自身が体験するチャンスを失ってしまいます。親に頼るだけでなく、自分の力で切り開こうという体験を積み重ねることが、子どもの未来を作り、幸せにつながります
 もちろん、人は誕生してから数か月は完全な依存状態ですね。この時期の親の献身的な世話は、その子の人格形成に大きな影響を与えます。 たくさん抱かれて、声をかけられ、よく相手をされた子どもには、安定した情緒が育ちます。
できることが増えているのに、「ダメ」を連発する親は、子どもの自主性の開発と自立を妨げています。 子どもの成長に伴って、親自身も「保護者」から「親」へと成長しなければなりません。「ヘルプ」はできない人のために、その人に代わってやってあげることです。一方、「サポート」は人をできる存在と捉えて、そばで見守り、必要なときだけサポートします―それがまさに「親」の仕事です―。そして、子どもの「できる」を増やしていきましょう。
 子どもの中には自立して生きていくための知恵の芽が存在しています。その芽は立派に育つように仕組まれているのです(親が過干渉で育つのを邪魔しなければ、です)。子どもの好奇心は、自立して生きていく上で必要なことを学ぶために自然が与えた力なのです。

 「君は可能性でいっぱいだ。君が、もっと良くなりたいと願っているのを知っている。お父さんとお母さんは、そんな君に、どんなサポートも惜しまない。君が望むものを手に入れるまで我慢強く応援するよ」。このメッセージに後押しされて、子どもは強くなれるのです。